東芝 ZABOON

実家の店を手伝い、体を粉まみれにした後、洗濯機を買いに行った。この時母は、フラワーアレンジメント教室帰りなので汚いエプロン姿ではない。悠長なものだ。

しかし久しぶりに家電量販店に行くとテンションが上がってしまうのは男の子の性である。あるいは、日頃から行っている童心を捨てない訓練の賜物だろう。

母が独自のルートを使い大幅な値引きを強要している間、僕は店内を見て回った。どの商品を見ても、圧倒的な「臨場感」「ライブ感」がひしひしと僕の五感に突き刺さる。スマホの画面からは到底得られないものだ。スーパーベーシストであると共に僕の親友という側面も持つオギノが、ネットショッピングを利用しないワケはこれなのかと考えていた。

ふらふらとしていると僕は良くないことを考え出す。「おかんが商談してる間になんか買ったらおもしろくね」
おもしろくない。
こういう時は大概何か欲しいものがあるわけではない。
人々がマイケル・ジャクソンに「KING OF POP」という称号を与えたように、僕にも「テンション上がってなんか衝動買いしちゃったバカ」という称号を与えて欲しいのだ。もっとも、その称号を与えて貰おうと僕が働きかけるのは、他ならぬ母であり、伶菜ちゃんであることが常である

しかしこの両名、僕のそれを許すことはほとんどない。僕がニヤニヤしながら何か商品を持って歩いていると「いらないでしょ」「何に使うの」「そういう買い物するからお金無くなるんだよ」と優しくたしなめてくれる。いつもありがとう。
ちなみに今日の気分は強めの電動歯ブラシだった。